塩水噴霧試験で調べるカチオン電着塗装の防錆能力
カチオン電着塗装とは
カチオン電着塗装とは、水溶性の電着塗料(陽極)の中に、被塗物(陰極)を浸漬させ、直流電流をかけることでそれぞれ違う極性の静電気を負わせ塗装を行う技術です。カチオンとは陽イオンのことで、非常に高い防錆能力を持つことも大きな特徴です。この電着塗装は自動車部品、家電製品や電子部品の塗装に用いられます。この塗装の優れている点は①自動化、省力化ができる経済性、②高い防錆能力がある塗膜性能、③均一な塗膜が得られ、膜圧調整が容易な作業性の3点です。今回は大きなメリットでもある防錆能力をクローズアップします。
カチオン電着塗装はなぜ錆能力が高いのか
化学反応によってできた電極付近の水溶性の塗料が、複雑な形状の被塗物に隙間なく均一な厚さの膜で塗装されます。均一に塗装されることで被塗物が空気に触れにくくなり、また気泡が生じづらくなります。さらに密着性の高い膜も形成することができます。これらによって、金属本体を錆から防ぐことができます。
防錆能力の調べ方
防錆能力を調べる方法として塩水噴霧試験があります。塩水噴霧試験とは、金属材料またはめっき皮膜・塗装皮膜を施した部品・製品の防錆能力を評価する試験です。 その中にも3種類あり、それぞれ中性塩水噴霧試験、酢酸酸性塩水噴霧試験、CASS試験と呼ばれています。なかでも中性塩水噴霧試験は代表的です。この試験は一般的な塩水を対象に吹き付け、洗い流した後にその経過を観察し結果を得る試験方法になります。また、基本的にクロスカット法が併用されます。これはアルファベットのXの形を皮膜に傷をつけ、その部分の腐食観察を行うというものです。腐食の面積や度合いなど観察し、時間で結果を表すのが基本となっています。優れているかの基準は1000時間程の防錆力があるかどうかが一般的です。 静電塗装や焼付塗装などの他の塗装では、600~700時間程度の防錆能力です。
最後に
いかがだったでしょうか? カチオン電着塗装には高い防錆能力があります。防錆能力が強いということは、製品の劣悪化を遅らせ、長い間使用できるということにも繋がります。 タマ化工株式会社のカチオン電着塗装は、銅板材は960時間、合金化溶亜鉛めっき銅板は480時間の塩水噴霧試験に耐えることができます。大手自動車メーカーの厳しい品質基準をクリアしております。表面処理のお困りごとがございましたらぜひご相談ください。