油脂の除去に役立つアルカリ脱脂について解説
みなさん、アルカリ脱脂についてご存じでしょうか。
電着塗装の前処理の工程で行われる脱脂処理の種類になりますが、どのような処理なイメージがつきにくいのではないでしょうか。
今回はアルカリ脱脂についてご説明させていただきます。
アルカリ脱脂とは
アルカリ脱脂とは、アルカリ性の水溶液を用いて、被処理物に付着している油脂を除去する処理のことをいいます。
古くから利用されており、現在でも安価で安全であることを多くの現場でこの方法が採用されています。
アルカリ脱脂の種類
アルカリ浸漬(しんせき)脱脂
アルカリ浸漬脱脂とは、被処理物をアルカリ性の水溶液のプールの中に浸漬させて、油脂を脱脂する方法になります。
アルカリ浸漬脱脂で使用される脱脂液は、水酸化ナトリウム、リン酸、ケイ酸塩や炭酸塩などを主成分とします。そのほかにも、界面活性剤やキレート材、消泡剤なども含有されています。
・アルカリ浸漬(しんせき)脱脂の原理
アルカリ浸漬脱脂の原理は、アルカリが汚れ(今回の場合は油脂)を変化させて洗い流し易くするという性質から成り立ちます。アルカリは油脂の成分である脂肪酸と反応を起こし一種の石鹸を作ります。油脂が石鹸に変化することによって洗い流されやすくなり、表面の汚れ(油脂)を洗浄する助けにもなります。
脱脂液のアルカリの濃度が高く、温度も高いほど脱脂する力は強い傾向があります。しかし、アルカリの濃度が高すぎると被処理物を腐食させてしまう恐れがあります。また、温度も高すぎると界面活性剤の脱脂力が弱まることがあります。
アルカリ電解脱脂
アルカリ電解脱脂とは、被処理物を陰極あるいは陽極として電流を流し、アルカリ水溶液を電気分解することで、脱脂をする方法です。電解液は、アルカリ浸漬脱脂と同様のアルカリを主成分とする水溶液です。
・アルカリ電解脱脂の原理
その原理は、電気分解が起きることによって成り立ちます。電極とした被処理物から発生する水素ガスあるいは酸素ガスによる表面撹拌の作用で油脂を除去します。
これらのガスが被処理物の隅々まで行き渡ることによって、汚れが落ちにくい部分の油脂を除去することができます。
浸漬脱脂と電解脱脂の違い
浸漬脱脂と電解脱脂の違いは、脱脂の精密さと脱脂力です。電解脱脂のほうは被処理物から発生するガスが、被処理物の表面の隅々まで行き渡ることで隅々の油脂や汚れを除去することができます。発生するガスの量が多いほど、脱脂力も高くなります。しかし、浸漬脱脂ではガスは発生しないので、表面の隅々まで脱脂することは難しく、ガスの力による脱脂もできません。よって浸漬脱脂を予備洗浄として行い、電解脱脂を仕上げの洗浄として行うことが多いです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
金属の表面処理の工程で行われることの多いアルカリ脱脂ですが、油脂を除去することに優れています。
このアルカリ脱脂を行うことで表面処理の仕上がりが美しくなります。
タマ化工株式会社では、カチオン電着塗装の表面処理を行っております。アルカリ脱脂ではアルカリ脱脂を採用しており、シャワー形式と侵入形式で被処理物を徹底的な脱脂を行っているようです。表面処理のお困りごとがございましたら一度お問合せしてみてはいかがでしょうか。